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(恋…。 でも、本当にこれが恋心なのかなぁ?)   好きだとしても、自分でも良く解らなかった。     (恋だとしても、どうやって…   「智。」   …確認すればいいんだろ。)   「おい、智!」   (…?) 「あっ、はい!」   「何ボケっとしてるんだ?」   「あっ、いや…。」   「上がりの時間だぞ。」   「す、すいません…。」   「お疲れ様。また明日な。」   「は、はい、お疲れ様でした。」   店長の声にも気付かず、色々考えていたらバイト終了の時間だった。   そして、店の2階に上がりタイムカードを押し、店を出た。    普段通り、対面の店に行こうとしたが、女性に会うのにちょっとした動揺があったので、店脇で一服してから行く事にした。   「カチッ、…フゥ。」   煙草なのか、自分の息なのか判らない白い煙りを吐きながら心を落ち尽かせる。   (何で動揺してんだろ…?)  …と思ったのも束の間。   「あっ、見っけ!」   肩越しに聞こえた女性の声に驚きながらも振り向き…   「恵利さん…こ、こんばんわ。」   前置き無しに現れた女性に対し、また違う意味で動揺したオレだった。   「こんばんわ(微笑み)。」
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