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「あれ…、なんでココに居るの分かったんですか?」   「だって、智君が来るのはいつもコノ時間でしょ。」   「ハハ…。」 (確かに。)   「店に来ないから、外にでも居るのかな?…って思ったら居た。」   「そ、そうですね。」   「…あのね、私も今日は今で上がりなんだ。」   「そぅなんですか?」   「うん。だから駅まで一緒に帰ろっか?」   「えっ?!」   会話の中での女性の発言に、オレは驚きを隠せなかった。   「あれ?電車じゃないの? いつも駅の方に歩いて行くから…。」   「いや…、電車の日もあるんですが、今日は自転車で来てて。」   「自転車?! 家近いの?」   「まぁ、近くもないし遠くもないですが…。」   「そうなんだ。」   「あっでも、自転車の時は駅前に停めてるんで、全然大丈夫です。」   …何が大丈夫なのか判らないが取り敢えず答えた。   「じゃ駅まで一緒に行こうか?」   「はい、善いですよ。」   「あっ、帰る用意してくるから待っててね。」   「分かりました。」     女性は店の中へと入って行った。   (何だコノ展開…。)   オレは更に戸惑いながらも、自分が今置かれて現状を計るので頭は一杯だった。    《薄暗い夜空に浮かび、 地を見下ろす白い月。 見上げたオレに何を問う。 絶望を避ける代償は、 混沌な思想の中に存在するのか…?》
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