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オレが働いてるのは、上野駅前から御徒町駅へと続くアメ横だ。
云わずと知れた、商い通りで、平日でも夜まで賑やかな通り。
そのアメ横の中の、とある魚屋でオレは12月の頭から働き出した。
駅前に自転車を置き、人込みの多い夕方のアメ横を、人を掻き分けバイト先へと向かう。
着いた頃は午後5時前。
「おはようございます。」
オレは店先に居た店長に挨拶をし、店の2階にある更衣室へと、古く急な階段を登る。
タイムカードを機械に通し、制服は無いのだが、寒い店先での仕事なので、前もって持って来てある緑色のチェックのジャケットを羽織り、階段を下りて仕事を始める。
ここでの仕事は、魚などの魚介類の品を、毎日の夕飯の買い物客相手に売る仕事だ。
けど年末はコノ店、お歳暮や、帰省する際にお土産に持ち帰る客が増えるのだ。
特にコノ仕事場に魅力を感じ働き出した訳ではなく、年末に向け忙しくなるだろうと、この店の店長が出した求人案内を見たのがきっかけだった。
オレもお金が欲しく求人案内雑誌を見て探してたのだが、決め手になったのは時給だった。
一日3時間程度、忙しい時間帯での仕事だが、時給が千円だったので、仕事内容問わず決めた。
そんな経緯で面接したら、あっけなく採用されたこの店、今日で五日目の出勤。ただ声を出し、客相手に商品を売るだけの単純作業。接客業が好きなオレにとっては、特に苦手な事も無く普通に働いていた。
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