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まだ僕が小さい男の子だったころ、大きな木の下で、まだ小さい女の子だった彼女に出会った。
その木は家の近くの原っぱに立っていて、一緒に遊ぶような友達や兄弟もいない僕は、ひとりでよくそこに遊びに行っていた。まだ小学校にも入る前だ。
ある日木の下でうずくまってる女の子に出会った。今となっては理由は覚えてないけれど、多分泣いてたんだと思う。
今までここに人が来たことがなくてびっくりしたけど、泣いてる人には優しくしないとと思い、しどろもどろ慰めてあげた。
慰めてあげた僕に気を許したのか、その日は二人で木の下で夕暮れまで遊んだ。その日、僕は生まれて初めて友達ができた。
それから毎日僕らはそこで遊ぶようになった。いつも一人で遊んでいた僕にとって誰かと一緒に遊ぶというのは新鮮でおもしろかった。それにうれしかったんだと思う。
小学校に入ってからも僕らは一緒に学校に行って、一緒に帰った。帰りには毎日のように遊んでた大きな木の下。僕にとってはなんだか特別な場所な気がしてたな。
あまり人と喋ったりするのが得意じゃなく、友達もほとんどいない僕。そんな僕と違って、彼女は明るく誰とでも喋っていて、友達もたくさんいた。それでも彼女はどんくさい僕とも優しく喋ってくれた。
僕は彼女と一緒に過ごす大きな木の下の時間だけのために学校に行ってた気がする。
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