大きな木の下で

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中学生になって男だとか女だとか、そういうことを意識するようになってくるころ、それでも相変わらず僕らは一緒に学校に行って、帰って、大きな木の下でお喋りをしていた。 周りからはこんなさえない僕と明るくて頭もいい彼女とが一緒にいることが不自然に見えるのか、学校では奇異な目で見られているようだった。おまけに彼女は中学生になってとてもキレイになっていたし。 僕といることを同級生たちに変な目で見られても、優しい彼女は「そんなこと気にしたらだめだよ」って言ってくれた。でも僕のせいで彼女まで変な目で見られるような気がして、いつのまにか僕は学校で彼女に話しかけなくなったんだ。 それでも一緒には帰っていた僕は、毎日彼女と過ごす時間はあったし、その時間を楽しみに毎日を過ごしていた。それでも十分うれしかったし、友達の少なかった僕はそのとき以外人と喋らない日もあった。 学校で話さない分、僕はそのとき色々喋った。授業で当てられて分からなかったこと、体育でサッカーをしておもしろかったこと、宿題が多くていやになることなど学校のことから、こんな本が好きなことや、ネコに給食の残りをあげたことなど、1日分をそこで使うかのようにいっぱい喋った。 彼女はよく「私にはこんなに喋れるのにどうして他の人とはうまく喋れないんだろうね」と微笑みなが言ってた。僕もどうして彼女とだけこんなに言葉が出てくるのかうまく説明はできなかった。小さいころからの知り合いだからなのかな。
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