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高校は頭のいい彼女と僕とでは別々の高校に入学した。そんなに離れてた学校というわけではないけど。それでもやっぱり学校に行ったり、帰ったりするのは一緒ではなくなった。
一緒には行かなくなったけれど、今までのように僕と彼女は学校が終わったら大きな木の下で会っていた。僕は授業が終わるといつも先に着いて、彼女を待っていた。
「遅くなってごめん、待たせたかな」っていうのが最近では彼女の最初の言葉になっていた。もちろん僕は「待ってないよ」って答えるのだけれど。
彼女は僕に友達ができるかを心配してたので、僕は高校に入ってクラスにいっぱい友達ができたと話した。本当はあんまり友達と呼べるほどの友達はいなかったのだけれど、心配させたくなかった。
学校で会わなくなったので、ここではお互いの学校のことについて話した。数学の先生がこわくて嫌いなこと、高校になってお弁当になったので面倒なことなど。彼女は委員会に所属したらしく、そこでのこともいろいろ話してくれた。
仕事は大変だけどやりがいがあるだとか、こんなカッコイイ先輩がいるんだとか。彼女の口から他の男の名前を聞くと僕は少し胸がしめつけられるような気持ちになった。
委員会の仕事が忙しくなったのか、彼女は2,3日に1回ぐらいしかやってこなくなった。それでも僕はその優しい笑顔をたまに見れるだけでもうれしかった。
ある日なんだかいつもよりキレイに見えた彼女は、いつもよりキラキラした笑顔で言った。
「憧れてた先輩に告白されたんだ」と。
僕はおめでとうと言った。こんなにキレイな彼女が告白されるのはとても自然なことに思えし、自分でもよく分からなかったんだ、こういうときなんて言えばいいのか。
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