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ドンッッッ!!
「朝っぱらからうるせぇぞ!!」
「すすすいませんすいません!」
しまった、つい調子にのって声高らかに叫んでしまった。
確か今壁を叩いてきた左隣の部屋の人は先週入ってきた岡田さんだっけ……。
くそ、ちょっと顔が厳つくてまるでヤーさんみたいで怖そうだからってそこまで怒鳴るなよ。
おかげでベッドの中でお漏らしするところだった。
それはさておき、初っ端から『メイド服萌要素論』について語っていたこの俺こそが、主人公である『逆戸部 翔』(さかとべ かける)だ。
珍しい名前だろう。
青春とは程遠いところをまっしぐらにトボトボ歩いている高2の春。
残念ながら年齢が恋人のいない年数とイコールで結ばれる人種である。
ちなみに1人暮らしで、家族は他県に住んでいる。
何となく家族と離れて暮らしたくて、わざわざ他県にある今の高校を選んだ。
1年生の初めの頃はもう、バイトやら家事やら何やらで忙しくて余裕もなく毎日ぶっ倒れていたのはいい思い出だ。
今ではプロとは言わないまでも、なかなか料理の腕もあがっている。
最初はどうなることかと思ったが……ホント、人間の適応力ってすごいね、いやホントに。
経験者は語る。
一応、親には仕送りをしてもらっているものの、いつまでも頼るわけにはいかないと、高校に入ってすぐバイトを始めた。
ちなみに、セブンの夕方から夜のバイト。
もう1年間もバイトをしている。
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