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俺と由紀は見つめあったまま動かなかった
いや…動かないんじゃなくて動けないんだ
そんななか先に重たい口を開いたのは由紀だった
『どしたの?そんなとこに立ってないで座れば?』
『あ、ああ』
言われるがままに座る…この沈黙が嫌だ…なにか話さなきゃ!
よっ!元気か!?…違うな
病院の飯ってうまいのか?…これも違う気がする
なんて言えば…なんて…
ガバッ!
『!!!』
由紀はびっくりした表情と共に顔がみるみるうちに赤くなっていく
それもそのはず!拓也は由紀を抱きしめているのだから…
『た、拓也!!どうしたの!?』
『ごめん!由紀がこんな苦しんでることに気づけなくてごめん!!俺は…俺は…ウッ』
思わず涙がでてしまう…由紀が無事で安心したのもあるが、何より自分の不甲斐なさに嫌気がさしたからだろう
泣くはずじゃなかったのに、それでも涙が止まらないんだ
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