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…決して新しいとは言えないその一室。
きみはやっぱり泣いていたね。
そんなにじぃじが好きなんだな。
ママがきみと一緒に、この狭いベットで寝るのは何日目だっけ?少し不機嫌そうな顔をしてたけど、きみを見る目は優しかったね。
きみ以外の皆、
「すぐ帰れるよ
じぃじの家に帰れたら、大好きな電車のおもちゃで遊ぼうね」
て言う。
きみはやっぱり、泣いていたかな。
少し時間が経つと、じぃじは帰っていって、3人の時間になった。
「もしかしたら、仙台のおっきな病院に移るかもしれない。ここでは、手に負えないんだって」
胸が苦しくなる感じがしたけど、また笑ってみせた。新幹線が見える所だったらいいね、なんて、言ったりしたよ。不器用なパパだね、ごめんね。
きみは、パパの冗談なんかのせいで、随分元気になってくれた。夜9時前だというのに、3人でお菓子パーティをしたね。
随分笑ったよね。
ママのために買ったお菓子、随分食べちゃったね。
おかしくって、楽しい一時だったでしょ?
パパは、とても楽しかったんだよ。
それからもうしばらくすると
ふたりともウトウトしだして、瞼を閉じた。
ママの頭を撫で、きみのほっぺにキスをして、
息をころして
気付かれないように
そっと病室を出た。
外。月が白い息と重なって、うすぼんやりと光る。
また会いに行くから。
じゃあ、明日。
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