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待ち合わせ場所は磯橋遊園地の入り口。目印は、僕が青い手袋に青いニット帽、理紗が白いマフラーにクリーム色のセーター。
僕はこの日が待ち遠しくて堪らなかった。毎日のように夢見て、ようやく叶った理紗との出会い。
理紗とは思えば二年前からの仲か――。
感傷に浸っている場合じゃない。バスから降りると僕は辺りを見渡した。冬になりかけた肌寒いこの日、ジャンパーのポケットに手を突っ込み、理紗を探した。
僕は言われた通り、青い手袋に青いニット帽を被ってきた。辺りに人はあまり居ない、理紗を探すのにも良さそうだ。
平日ということもあってか、磯橋遊園地にはあまり人が居なかった。
「理紗、理紗……」
僕は呟きながら遊園地の入り口付近にふと目を向けた。その時、目印の服装で佇む女性がそこに居た。だけど僕は動けなかった。
「あれじゃない、よね?」
誰にともなく呟く僕。眼前に広がる景色の中、確かに目印の服装をした女性はあの人だけだけど……だって、理紗はスポーツが好きな活発な女性でしょ?
車椅子になんか乗っている訳ないじゃないか。
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