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「ご、ごめんね…いいって言ったのに…」
「い、いやっ!!いいんだよ!!母さんの言うとおりだし、夜遅いから何かあったらまずいし」
結局はじめは水樹を送ることになった。
今日水樹は香里奈の家に泊まることになり、もうすでに香里奈には連絡も入れている。
夏真っ最中だが、夜になれば涼しい風が二人を包む。ちょうどほどよい気温だ。
「緒方君のお母さんって…凄いね」
「えっ??」
水樹の突然の言葉にはじめは理解が出来ていない。頓狂な声を出す。
「ううん、今日色々話していてそう思っただけ」
「……まあ、少し抜けてるていうか…少しおせっかいなところもあるけど」
「あたしはあんな風な人になりたいな」
「はぁ??母さんみたいに??」
「あんな風に誰にでも優しく出来て、自分の弱さを素直に認められるような…強い人に…」
「………本山さん」
二人はしばらく黙ったまま、歩き始めた。
水樹の自転車を押しているはじめ、それに合わせてゆっくり歩く水樹。
「後ろ、乗って」
はじめが痺れを切らしたのか、突然自転車のサドルに腰を下ろし、水樹に後ろへ乗るように誘った。
水樹は頷き、後ろに座ると自転車に体重を預けた。
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