第十八話 〈緒方はじめ〉

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「ご、ごめんね…いいって言ったのに…」 「い、いやっ!!いいんだよ!!母さんの言うとおりだし、夜遅いから何かあったらまずいし」 結局はじめは水樹を送ることになった。 今日水樹は香里奈の家に泊まることになり、もうすでに香里奈には連絡も入れている。 夏真っ最中だが、夜になれば涼しい風が二人を包む。ちょうどほどよい気温だ。 「緒方君のお母さんって…凄いね」 「えっ??」 水樹の突然の言葉にはじめは理解が出来ていない。頓狂な声を出す。 「ううん、今日色々話していてそう思っただけ」 「……まあ、少し抜けてるていうか…少しおせっかいなところもあるけど」 「あたしはあんな風な人になりたいな」 「はぁ??母さんみたいに??」 「あんな風に誰にでも優しく出来て、自分の弱さを素直に認められるような…強い人に…」 「………本山さん」 二人はしばらく黙ったまま、歩き始めた。 水樹の自転車を押しているはじめ、それに合わせてゆっくり歩く水樹。 「後ろ、乗って」 はじめが痺れを切らしたのか、突然自転車のサドルに腰を下ろし、水樹に後ろへ乗るように誘った。 水樹は頷き、後ろに座ると自転車に体重を預けた。
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