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早朝と言うにはまだ早すぎる深夜。
俺たちは輸送機によってシュリンク基地に到着。
そして、正午付で前線へ行けという命令が俺たちに下された。
その命令に対して俺たちは困惑した。
こんなの普通だったら考えられない。
最低でも到着した最初の1日ぐらいはここで準備や点検をしたいものなのに……。
しかし、基地司令部と戦局は、それを許さなかった。
もしトラックでここまで送られるんだったら、着くのは午後以降だったろうな……。
そうすれば、少なくとも今日は戦わずにすんだのに。
俺は素早く前線に兵士を送れる輸送機を呪った。(後日談だが、トラックで来た後発の部隊は、夜戦隊にまわされて、それはそれは大変だったらしい)
「――。俺たちがこれから向かう前線、戦闘エリアは最右翼のAエリアだ」
我らがライアン隊長が作戦指令室とは名ばかりのテントの中で響く砲撃に負けじと大声で言った。
そして隊長は続ける。
「我々が行くAエリアは現在敵の攻撃を受けている。そして、なんとも嬉しいことに味方部隊は大苦戦中だ。戦況はもともと分が悪いが、今こうしている間にも前線を突破されかねない状態だ。それを裏付けるようにこのAエリア防衛隊はもはや限界に近い。崩れるのは時間の問題だ。そしてなにより今のこちらの戦力では一カ所でも崩れたら総崩れになる」
隊長は地図に書かれた、防衛ラインを指差しながら言った。
鳴り響く外の爆音。ため息さえ聞こえそうな静かなテント。
「作戦内容の詳細は現地で話す」
そう隊長は締めくくり、さっさとこのテントを出て行った。
テントの中は隊長が去った後も静かなままだった。
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