16日目

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「…御主人様ぁ…」 独りきりの部屋で 俺は自らを慰めていた。 彼女の一つ一つを思い浮かべ、手を機械的に動かす。 「ぅ…」 虚しさに襲われる。 まだ、彼女の香りが部屋にわずかに残っている。 甘酸っぱい、果物のような香り。 彼女が部屋を訪れなくなって、しばらくたつのに。 それだけ彼女はいつもここへ来てくれていたのか。 虚しさでいっぱいになりながら、俺は果てた。 涙が頬を伝う。 彼女が俺を見切れば、俺に生きる意味はなくなる。 誰よりも愛してる。 そう言った彼女は、 俺が見たどんな笑顔より、綺麗な笑顔をしていた。 そんな彼女を壊したのは、他の誰でもない、俺だ。 彼女を、裏切ったのだから。 ヴヴヴ… バイブレーション。 机の上に置いてあった携帯を覗き込むと、メールを受信したようだった。 その中に、俺は待ち続けていた名前を見つける。 <アユカ> 急いでメールを開く。 1行だけの文章が表示される。 [明日、遊びに行く。] 何度も読み返し、俺の胸は高鳴った。 また、俺はチャンスを与えられたのだ。
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