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「どーしたんだろ。急に勉強教えてほしいなんて」
私は、何度か繰り返した問いをもう一度つぶやいた。
(たしか勉強嫌いだと思ってたんだけど、
高校入ってから改心したとか?
…いくらなんでも改心はおおげさか。)
「…よぉ」
「あ、ハルキ」
ぼーっとしてて彼が来たのに気付かなかった。
私の前にハルキが立っている。
「急に呼び出したりしてごめんな」
「いいよ。別に暇だったし」
私は彼の言葉に笑顔で応える。
昨日、メールで、
[明日暇だったら勉強教えて?]
って来てたからすごいびっくりした。
私の成績はそれなりで、中学ん時から勉強は教えてたんだけどね。
「ふぅ…暑いね。汗かいちゃった」
今は夏真っ盛り。
こうやって立ってるだけでも日射病になりそう。
あーそれなら、って彼。
「俺、穴場知ってんだ。そこなら涼しいし、そこ行こ?」
「うん、いいよ」
はっきり言って、私はこの町に詳しくない。
彼に頼るのが1番だろう。
…それにしても、彼に会うのは久しぶりだ。
高校に入ってから、ろくすっぽ連絡もとってなかったし、
最後に会ったのは春休みにみんなで遊びに行った時だっけ。
お互いに、自分達の近況なんかを話しながら道を歩く。
そして、彼の案内でついたのは小さな自然公園。
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