青い空。探しモノは何の為

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空を見上げると、先ほどまでの雲一つ無い快晴が嘘のように無くなり、薄黒い雨雲が空一面に広がっていた。 少年は一つ、理解する。 この雨は、飛房の涙だと。少年が泣いてしまえば、飛房も泣く。少年が怒ってしまえば、飛房も怒る。少年が笑えば、飛房も笑う。 少年は一つ、納得する。 人犬一体のように、一つの紐で結ばれているのだと……。 少年は涙を拭い、笑顔で飛房と向き合う。 ぱらぱらと降っていた小雨が勢いを増し、土砂降りへと変わって行く。 「泣かないでよ、飛房」 雨の音に声が消されてしまっても、少年は叫んだ。叫ばずにはいられなかった。すると、雨の音に紛れて『違うよ』と言う言葉が耳を掠めた。 「え、違う? じゃあ、嬉し泣きだ」 少年がニッコリと笑ってそう言うと、瞳の中に飛房の姿が、ぼんやりと焼き付いた。 『ありがとう』 その瞬間、土砂降りだった雨の音が、何かに操られたように消えた。しかし、雨はたしかに、降っていた。天から降る雨粒が、体に当たる衝撃を、少年はたしかに感じていた。 「飛房」 少年に迷いはなかった。眼の前にあるモノ、眼に映るモノ、それが飛房であると言う事を、少年の細胞が感じていた。
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