姫と騎士

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体育館で行われていた余興も終わり、各々担当する部活へと向かっていった 生徒だけで楽しむ前夜祭と銘打っているものの、実質営業している部活は半分以下だった あくまでも本番は明日に控えた一般公開なのだ そんな中、沙羅と慶は二人で学園内を歩き回っていた 「ここ!ここも行きたいですわ!」 「えっと…パティシエ部と…」 慶はメモを片手に沙羅の後ろをついていく 「時間的に次が最後になりますね」 「最後はどうしましょう……あ…あれ」 沙羅は窓の外を指差す 「へぇ…意外だなぁ…あれが最後でいいんですか?」 「はい。構いませんわ」 「じゃこれで決まり…っと」 慶はメモをじっと見つめている 「でも本当に大丈夫ですの?」 沙羅は不安そうな顔で慶に尋ねた 「任せて下さいよ。誰にも文句を言わせませんから」 慶は目線をメモから離すことなく、質問に答える 時折、何かを書き足すような仕草を見せる 沙羅はそれを黙って見つめていた 「あ、あの…」 聞き慣れない男の声に慶はメモから目を離した 沙羅の前に一人の小柄な男がいた 「なんですの?」 「あ、明日の文化祭、い、一緒にど、どうでしょうか?」 男はおどおどした様子で頭を下げた 「申し訳ありませんが、明日は先約がいますの」 「や、やっぱり彼氏がいるんですね!?」 男の目が潤んできたのがわかった
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