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「どこからそんな話が出てきたんですの?」
沙羅は呆れた様子で問い掛けた
「そいつが彼氏なんですか…?」
指をさされた慶は驚きを隠せなかった
「そ、そ、そんなわけないですよ!」
「そうです。この方は同じ部活の後輩というだけで…」
「じゃあ明日は俺と…!」
「村田!」
慶達の背後から声がした
「勝手な行動は慎めと言っただろう」
慶はその男に見覚えがあった
沙羅が手紙を投げた時にそれを手にした人物だった
「あら?何の用ですの?」
沙羅はその男を知っているようだった
「ご無礼をお許し下さい沙羅様」
男はひざまずき、沙羅に一礼した
「でも工藤先輩…」
「言い訳はよせ」
工藤と呼ばれた男は立ち上がり慶をちらりと見た
そのまま視線を沙羅へと移す
「沙羅様、実はお願いがあってやってきました」
沙羅は黙ったままだった
「明日、我々が考案したイベントに是非とも参加していただきたいのです」
「嫌ですわ」
沙羅のはっきりとした物言いにも工藤は怯むことなく続けた
「いえいえ、そういうわけにもいきません。そうでなければ我々が活動しようがありませんから」
「私は明日、先約がいますのよ」
「それならそれで構いません。イベントに参加と言っても沙羅様は自由に文化祭を楽しんでくださって結構ですから」
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