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「しかし、クラスの出し物が一切ないって珍しいですよね」
「この学園の特徴と言えばやはり部活動ですからね…帰宅部なんて学年に一人いるかいないかでしょう?」
「なーんか面白いこと起きませんかね?」
「そんな簡単に起きるわけ…」
その時、沙羅の会話を遮るようにドアをノックする音が聞こえた
「すいませーん、郵便ですー」
「あ、僕行きます」
立ち上がろうとした沙羅にそう言い、慶はドアへと小走りで向かっていった
慶がドアを開けると配達部の人間が一通の手紙を差し出してきた
「これ、外部からの手紙で八敷さんにとのことです」
慶は封筒を受け取った
そこには『沙羅へ』とだけ書かれている
「じゃあ、今そこにいるんで渡しておきます。ご苦労様でした」
慶がそう言い終わる前に配達部員はその場を去っていた
いかに皆が忙しいのかを慶は痛感した
「沙羅さん、これ」
「ありがとう」
沙羅は封筒を受け取り、その中身を取り出した
黙ったまま、手紙に目を通す沙羅
慶もその様子を黙ったまま見ていた
すると沙羅は急に立ち上がり、窓の方へ歩いていった
そして窓を開け、その手紙を丸めて、窓の外に捨ててしまった
沙羅は振り返り、窓から離れていく
「あー!何してるんですか!」
慶は急いで窓の方へ駆け寄った
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