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「何か用事があるんですか?」
慶はそのまま後ろ側から話し掛ける
沙羅はしばらく黙ったまま歩き続けた
慶は急かすことなく、何も言わずに後ろをついていった
「お父様が来ますの」
「へぇ~……いいことじゃないですか」
「この前の手紙はお父様からでしてね…」
沙羅が振り返る
「明日、私をお見合いに連れていくと言ってますの…」
「お見合い…?沙羅さん結婚するんですか!?」
「父が勝手に進めてるだけですけどね。私の隣に男性がいれば別と言ってましたけど…」
「じゃあ代役を立てれば…」
「もし彼氏がいるなら紹介するように書いてありましたわ。お父様のことだからきっと結婚へ向けての話し合いを進めるに違いありません……さすがにそこまで代役の方に迷惑はかけられませんわ」
沙羅は窓の外を眺める
慶もつられて外を見る
準備に追われる生徒達が走り回っている
「去年は風邪をひいて一日中寝込んでしまいまして……今年こそ神之矢学園の文化祭を楽しめるかと思ったんですけど……」
慶も文化祭を凄く楽しみにしている
それだけに沙羅の話を聞いているのが辛い
「……沙羅さんがしたいようにするべきですよ」
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