浮世離れ

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ちっぽけ 私は何を愛せませんでしたか? 人、神、世界、来世、現世、過去、酸素、生物…― 思いつくもの全て順不同に並べていって、無意味なことに時間を捧げ、無価値なものと決めつける。 何を愛せましたか? それは私自身と、答えるしか無いだろう。 いや、それすらも叶わないかもしれない。 必要な物は、脳からガラガラと音を立てて落ちていく。 記憶という器の中には、3秒で忘れても良いようなことばかり好きなだけ詰め込められていく。 自分が初めて聞いた音も、見たものも、脳に押し込められた言葉も全て忘れてしまうのに。 人は何故生きることを喜ぶのだろうか? 死ぬだけの運命なのに。 感情が無ければ、そんなことは無いのに。 結局は今息してることを、過去に息してたことを、来世に息することを後悔するしか無いということだと自答するしかない。
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