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今の時代、刀を持って町中を歩いているのは、大抵は町戒の人だ。
あと刀を持って歩けるのは、町戒の人もそうだが、ちゃんと許可を持っている人。
つまり…妖刀使いだ。
「…あんちゃん、妖刀使いなのか?」
ちょっと不安そうに尋ねた運転手に、少年は答えた。
「一応、な。
ちゃんと許可書なら持ってるぜ?」
「あ、いや、別にあんちゃんを疑った訳じゃないんだ!
ただ珍しくってよ」
「珍しい?妖刀使いが?」
妖刀使いだったら、町中に町戒の人がいるのだから、別に珍しくはないはずだが。
「いや、妖刀使いだからって訳じゃないんだ。
あんちゃんみたいな若い妖刀使いはあんまみないからな」
「なるほどな…納得した」
町に着く前の電車内で、妖刀を持っていたのはいなかった。
普通は探してみても、五六人はいるはずだが、おそらくこの町には、町戒の人以外の妖刀使いは少ないのだろう。
理由はわからないが。
「なあ、あんちゃん。
さっき、妖刀使い育成高校に行きたいって言ってたが、ひょっとしてあんちゃん、そこの学生さんなのかい?」
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