4546人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん…」
「お!あんちゃん、やっと起きたか?
さっきから何度も起こしたんだぞ」
「あぁ…悪い」
まだ少し頭はぼやけているが、思考を働かせた。
「しっかしあんちゃん、ちょっと寝過ぎだぞ?
起こすのに五分近くかかったんだからな。
よほど良い夢でも見てたんだろうな」
「……良い夢なんか、見たこともねぇよ」
聞き取れないほど小さな声で、少年は呟いた。
「まあ、そうな話は置いといて、ほら、見えるだろ?」
運転手が指差す方向には、かなりボロボロなバス停があった。
おそらく、あれが妖刀使い育成高校に行くためのバス停だ。
「ちょうど、今頃位にバスは来るはずだな。
しばらく待っていればいいさ」
「ああ、わかった。
いろいろと、ありがとな」
「ああ、いいってことよ。んじゃ、またどこかで」
タクシーのドアが閉まり、来た道を戻るように、タクシーは消えて行った。
「さてと…んじゃ、待つとするか」
荷物を担ぎ、バス停に向かって少し歩いたところで、ちょうどいいタイミングで、バスが来た。
最初のコメントを投稿しよう!