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「……」
「おーい、もしもし?
聞こえますかー?」
「ん…あれ?」
伏せていた顔を上げたその人は、少女だった。
背中まで伸びた淡い紅い色をした長い髪に、整った顔立ちに赤い瞳、女性なら誰でも憧れるスラッとしたスタイル。
そんな少女は、自分でも気づかないうちに顔を伏せていた。
あまりの睡魔に気づいた時には、もう少女は寝ていた。
「不和さん、眠そうなのはわかったけど…出来れば、僕の授業中は寝ないでほしいなぁ」
「すいません、先生……ちょっと、ボーッとしてしまって…」
少女、不和と呼ばれた少女に注意を言っていたのは、細い体に長身の背丈。
ちゃんとしたタキシードを着こなし、ちょっと茶の交ざった黒髪。
やる気のなさそうに見える瞳は黒、先生と呼ばれたその人は、無論、この学校の一教師。
そしてここは、妖刀を使える素質を持った学生が行き交う学校…妖刀使い育成高校だ。
そんな高校の今の場所は、今年入学してきた一年生の教室。
日本中を全て探しても、妖刀使いになれる人は少なく、結果、一年生のクラスは三クラスしかなく、一クラス約三十人前後くらいの人数だ。
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