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数百年前、まだ侍が息づく時代。
機械という言葉はなく、人々は己の手足を労働に役立てていた時代。
そこには一人だけ、ほかの人とは違う、不思議な力を持つものがいた。
癒えることがない傷も、治ることがない病気も、そのものが手で触れるだけで、傷も病気もたちどころに治った。
人々はそのものを、神だと、神の生まれ変わりだと。
だが、それから何年か経ち、異変はおきた。
人々の間では不治の病と言われ、体の一部に火傷のような痣が浮かんだ三日後には、その者は、身体中から血が蒸発し、干からびて死ぬ。
干からびて死んだ人からは、赤い煙が立ち上り、人々には、不治の病と一緒に恐怖心まで伝染していった。
人々が頼るのは、自分たちが神と崇めるもの。
そして、神は言った。
「私なら、この不治の病を治すことはできる。だが、その為には、必要なものがある」
神と呼ばれるものは、不治の病を治せると言った。
ただし、それには、必要なものがあると言った。
その必要なものとは、
「痣が出ている者の血、一滴では足りない。この壺がいっぱいになるまで」
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