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「そんなに急いでどこ行くんだい?焔」
「あなたには関係ないでしょ、羽柴(はしば)」
少女、不和 焔(ふわ ほむら)は、横から手を出している羽柴と呼ばれた男子生徒を睨み付けた。
「そう怖い顔しないでよ。
オレはただ好意を持ってお前に接してるだけなんだから」
長い金髪が目を少し隠しているが、羽柴は今、ものすごく下品な笑みを浮かべていた。
「好意があるなら、その手をどけてもらえる。
私は食堂に行きたいの」
「あのさ~、焔。
ちょっといい?」
席から立ち上がり、焔に顔を近ずけた羽柴は、
「あんま調子こくなよ、落ちこぼれが。
誰のせいであいつが自殺したのか、忘れた訳じゃねーよな」
「っ!」
強気だった焔の顔に動揺が見られる。
(……拓矢)
焔はかつて、自分がこの学園で、ミス・妖刀高校と呼ばれた時、自分のパートナーになった男子生徒を思い出した。
だが、焔にとって、それは一番触れて欲しくないことだった。
なぜなら、焔のそのパートナーは……もう、この世にいないからだ。
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