一刀・波乱の幕開け

3/44
前へ
/214ページ
次へ
「あ~、悪いがあんちゃん。そこには、普通の車じゃ行けないだ。悪いな」 「じゃあ行き方だけ、教えてくれ」 めんどくさそうに言う少年に、あまり怒ってない様子のおじさんは、 「妖刀高校に行くためのバスがある。 そのバス停までなら、行けるぞ?」 「じゃあそこまで頼む」 持っていた荷物(カバン)を乗せ、タクシーは走り出した。 タクシーが走ってる間、少年は一言も話さず、外の景色を眺めていた。 遠くからでも確認できるほど、巨大な塔のようなものが見える。 それがさっき話しに出ていた、対妖魔防壁だ。 技術者たちが努力の末、作ることができたと言われているが、肝心のその塔の仕組みは、作った技術者たちしかわからないというのだ。 ちゃんとした物なのか不安に思う人は少なくない。 だが、今のところ問題も起きてないし、ちゃんと機能もしている。 それに町の人たちが安心して住むには、もはやこの防壁は必要不可欠な物だ。 証拠に防壁がない町や、町の外にある家や屋敷は、ほぼ妖魔に襲われ、壊滅したというニュースなどが一時放送され、防壁の必要性を訴えかけた人は少なくない。
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4546人が本棚に入れています
本棚に追加