おいでませ、心霊探偵社

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おいでませ、心霊探偵社

 大学を飛び出して走ること10分。鷹人は町外れへとやって来た。 「その場の勢いでつい飛び出してきたけど……ここでいいのか?」  当てずっぽうで走った結果、辿り着いたのは武家屋敷のような大きな家だった。  ずいぶんと威圧感を受ける大きな門には『心霊探偵社、視咲(しさき)』と書かれた看板がかけられていた。  鷹人は圧倒されながらも呼び出しのインターホンを押した。 『はい、こちら心霊探偵社の視咲です』  少しして、スピーカーから対応の声が聞こえてきた。探偵の娘なのか、声はまだ幼い少女のものだった。 「あっ、すいません。ここって心霊現象の調査してくれるんですよね?」 『もちろんです! 宣伝の通り、霊の仕業と思われる現象ならどんな些細なことでも調査しております!!』  興奮した声で少女が告げる。そこには「せっかくの客を逃がすか!!」と意気込む雰囲気が感じ取られる。 「そっ、それじゃあ依頼をしたいんですが……」 『はい、ありがとうございます! ただいまそちらに向かいますので少しお待ちください!!』  待たされること数分。重厚なイメージがあった門はあっさりと開かれ、先ほどの声の主であろう少女がやって来た。  人懐っこそうな表情は年相応にかわいく、髪は後ろで結んでいるがかなり短い。どうやら無理やり結んでいるらしい。  少し古い印象を受けるセーラー服を着ているが、彼女にはよく似合っていた。 「はじめまして。当探偵社で助手をやっている一葉(ひとは)といいます」  一葉は頭を深々と下げた。声で予想していた通り、中学生くらいのようだ。 「依頼は中で聞きますのでどうぞ」  案内されるままに鷹人は武家屋敷へと足を踏み入れた。  玄関へと続く道はそう長くないが、辿り着くまでに広い敷地内を見ることはできた。 「へぇ、池もあるんだ」 「はい。当探偵社の主がペットを飼ってるんです」  鷹人は足を止め、池へと視線を向ける。 「こんな立派な屋敷で池でペットとくると……高そうな鯉とか?」 「あはは、違いますよ」  一葉は軽く手を振って玄関へと歩き出した。何を飼ってるのか教えてほしかった鷹人だが、置いていかれるのも情けないので後を追いかけた。
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