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玄関を入ると正面には奥へと続く廊下が伸びており、右は靴棚、左には扉があった。
「住居だった屋敷を改良してそのまま使ってるんです。こちらにどうぞ」
一葉が扉を開き、脇にどく。鷹人は滅多にされない対応に多少戸惑いながらも先に進んだ。
外装が武家屋敷なのに対して部屋の中は西洋作りだった。アンティークらしい細工の施されたテーブルやイス、本棚や執務机。
その執務机には―――
「ようこそ、視咲探偵社へ」
不適に笑う、中学生くらいの少年が座っていた。
長くも短くもない髪はきれいに整えられ、着ているワイシャツと黒いズボンの学生服も皺がなく、どこかやり手のビジネスマンを彷彿とさせる。
眼鏡越しに見える鋭い眼光は、鷹人という客を捕らえようとする獣のようだ。
「彼が当探偵社の主、視咲灯(ともり)です」
「中学生が探偵か……」
鷹人は一瞬『見た目は子供頭脳は大人な少年探偵』や『実は神様な少年探偵』、『金が一番な少年探偵』を思い出した。世の中の探偵とは、いずれも少年らしい。
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