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その生徒は、いつもと変わらない日常に退屈していた。 机の周りに寄り集まって話し掛けてくる騒がしいクラスメイトには笑いながら相槌を打っていたが、内心は楽しくも思ってなかったし、正直、学校という場所自体が嫌だった。 唯一、楽なのは授業中だ。人と関わる事が苦痛だったからだ。 頬杖をついて話を聞いてると、ある怪談話が飛び込んで来た。   「なぁ、この学校の実験準備室って開かずの扉って呼ばれてるんだぜ。知ってるか?」   「知ってるけど、ありきたりな怪談だよなー。実は何も無いんじゃねーの?」   「そんなのわからないだろ。試しに行ってみるか?」   「やめとけよー」   「…‥俺が行ってやろうか?」   ふざけて笑い合うクラスメイトは、その生徒から急に発せられた真面目な言葉に、一瞬無言になる。   「じゃあ、行ってみようぜ。俺らも後ろからついてくから」   どうやら、あと一押しが足りなかったらしい。ひと呼吸置いてから、一人のクラスメイトが今度は本当に行こうと言ってきた。 他は困惑を抱きながらも立ち上がり、その生徒達は準備室に向かった。
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