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青年の名は渡辺勇乎(わたなべゆうや)。
スタイルや顔はまあまあいいほうだと思うが、頼りなさそうとよく言われる。ごく普通の二十五歳。毎日深夜零時から翌朝五時までコンビニでバイトをしている。つまり……ニートだ。
「渡辺くん。君は仕事熱心だし、就職しようと思えばいつでも就職できるんじゃないかい?」
と声をかけてきたのはコンビニの店長。
「仕事熱心ってだけで就職できたら、今ここにいないっすよ」
「ん。それもそうだね。はは」
店長は苦笑いをし、店の奥へ消えていった。
パンポンパンポン、と客が入ってくる。
「いらっしゃいませ」
愛想よく笑いながらお決まりの挨拶。
「あんた」
今入ってきた女性がレジに腰かけ、勇乎に話しかける。
「あのお客様。他のお客様のご迷惑に
「うっさい」
店員らしく接しようとしたが、その女性の態度にプツン、と勇乎はキレてしまった。
「うっさいとは」
バチン!
「っ!」
その女性に勇乎は平手打ちを食らった。
「うっさいって言ってんでしょ」
酔ってるのかと思ったが、酒臭くはない。
「あんた。魔法使いでしょ」
突然言われ、勇乎は、
「はぁぁ?」
としか言いようがなかった。
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