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「また、こりゃあ……今日みたいな日に限って」
「見た目はただの桃だけど……アンタの尻くらいはあるんじゃないかね」
「お前は俺の尻の何を知ってるんだよ」
顔をしかめる海児をよそに、早乃はとりあえず桃をまな板の上に置く。
威圧感を放つそれを切るため包丁を取り出した彼女は、そこで固まった。
「……」
「……早く切れよ」
「スパッと?」
「スパッと」
「………………」
「………………」
「……この桃、なんかおかしいのよね」
「ええい、じれったいわ!!」
海児は早乃から包丁を奪い取ると、桃の中心に刺し入れた。
――――はずだった。
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