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海児が構えると同時に、文字通り『鬼』の形相で鬼が襲いかかってきた。
海児は軽い跳躍を繰り返しながら、繰り出される鬼の拳を避け、刀で斬りつける。
しかし、鉄のそれとほとんど変わらない硬度を持つ鬼の皮膚に妨げられ、浅い傷しか与えられない。海児は足で地を蹴って鬼の頭上を飛び越し、再び間合いをとった。
「ハッ、ハッ、ハッ……」
肩で荒く息をしながら、悪い視界の中で鬼を必死に見据える。自らの衰えを実感せずにはいられない瞬間だった。
(無様だ……七節海児!!)
鬼はゆっくりと迫ってくる。それに合わせて海児も徐々に後退し、村人の所へと追い詰められていく。
鬼が再度叫びをあげ、海児に襲いかかる――――
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