350人が本棚に入れています
本棚に追加
……甘かった。
こんなにもやられてしまうなんて。
頭がクラクラして、意識が今にも飛びそうだ。
もう、うごけない……
「いたか?」
「いや、こちらにはいないみたいだ。お前は?」
「……いや。アレを喰らったんだ、そんなに遠くへは行けないはずなんだがな」
……!!
すぐそこまで来ている。
足音も近付いてくる。
どうすれば……!!
朦朧(モウロウ)とした頭に、一つの考えが浮かんだ。
……危険だけど、今あいつらに捕まるよりはマシ、か。
額から流れる血を拭い、言霊を唱える。
『……………』
呪詛(ジュソ)を紡(ツム)ぎ終わる。
体が融解(ユウカイ)し、周りの竹に溶け込んでいく。
……どうか、奴らにだけは見つかりませんように……。
視界が、暗闇に包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!