鬼月村

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「まあいいわ。今度こそ連れていくのよ」 「だ、ダメなんだって! 危ないよ」 「うるさい、つべこべ言うな!! 次はかぐやも行く! はい、解散!!」 桃太が深くため息をつきながら部屋を出ていったのを確認したかぐやは、戸棚から綺麗なかんざしを取り出した。 豪華な装飾の施された、かぐやの部屋とはお世辞にも吊りあっているとは言えないかんざし。部屋の中で、そのかんざしだけが光り輝いているようだった。 「待っててね、織姫。かぐや、絶対助けに行くからね……!!」 それは決意ではなく、悲痛な叫びだった。 誰にも聞こえていない、叫び。
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