鬼月村

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「あんた達が……そうだね、まだ四才くらいのときだったかね。この村に、織姫(オリヒメ)って女の子が越してきたのさ。アンタも四歳だったんだから、少しは覚えてるだろ? かぐやはその子が大好きになってね」 過去の煌(キラ)びやかな記憶を振り返り、早乃が語る。桃太は黙ってそれに聞き入った。 「活発な子でね、よく走り回っては転んでた。そんな織姫の後ろを、必死になって追いかけ回してたのがかぐやさ」 一緒に転びながらね、と早乃が顔をほころばせる。桃太もかすかに、自分も一緒に遊んでいたはずの織姫のことを思い出していた。
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