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「そこで、二人は鬼に見つかった。抵抗できるはずもなくて、あっさりボロボロにされてね。
アタシが見つけた時にはもう、かぐやしかいなかった。それにしても奇跡だったよ、鬼に遭って骨を折るだけで済んだんだからね」
姉がケガを負わされたと聞いてさすがに冷静ではいられないのか、桃太の拳に力がこもる。
「そして……織姫さんは」
「あの子だけ見つからなかったのさ。可哀想にかぐやは混乱してしまっていてね、ずっと同じことばかり喋ってた」
「? お姉ちゃん……何て言ってたの?」
早乃はキセルを取り出すと火をつけ、それを吸い込み一息おいてから、ゆっくりと口を開いた。
「……鬼王丸(オニオウマル)」
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