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「まあ、かぐやの体力なんてたかが知れてるからね。それは叶わないことだ。
でも、せめてアタシだけは信じてやろうと思って……鬼と戦ってきた」
キセルをふかしながら、早乃は立ち上がる。部屋をでる間際、桃太を振り返った。
「これからも何かと言ってくるだろうけど、絶対連れて行っちゃだめだよ。
でも、どうかあんたも信じてやっておくれ。じゃなきゃあの子は、その内一人で飛び出しちまうかもしれない」
早乃が襖を閉めると、桃太は行灯を消し布団にもぐった。
(大切な人を失うって、どんな気持ちなんだろう。……僕にはわかんないや)
あれこれ考えを巡らす前に、桃太は眠りに落ちていった。
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