孤高の老将

7/27
前へ
/972ページ
次へ
「ほら、さっさと入ってこい小僧! 今日はお前で最後だ!」 「さ、行ってらっしゃーい!」 「はぁ……分かったよ」 ニコニコしているかぐやを半べそをかきながら見つめ、桃太はしぶしぶ柵の中へ入った。 (うわぁ……素振りしてるよ) 「……ふむ、こんなものか。さて、いくぞ小僧!」 言うが早いか、浦島は桃太めがけて突進してきた。 「っわ……!!」 慌てて竹刀を構えるが、浦島はもう目の前まで迫っていた。やむを得ず浦島の一撃を防ぐ。 (ぐっ……!? 重い……!!) 「どうしたどうした小僧!! 素人か貴様は!!」 次々繰り出される浦島の猛攻に桃太はなす術もなく、じりじりと後退していく。 「くっ……そお!!」 桃太は隙を見て、苦し紛れに横の一太刀を打ち込む。しかし浦島は桃太の頭まで飛び上がりそれを避けると、そのまま避けた竹刀を踏みつけた。 「っ!」 地面にめり込んだ竹刀に気をとられた一瞬に、浦島の蹴りが桃太の頬へと命中する。
/972ページ

最初のコメントを投稿しよう!

350人が本棚に入れています
本棚に追加