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桃太が目をそらした一瞬に彼めがけて突っ込んだ浦島だったが、疲労してしまっているせいで足がもつれ、ついにうつ伏せに倒れてしまった。
「浦島さん」
「はあっ……はぁっ……!!」
桃太が浦島に駆け寄ろうとすると、浦島は目を見開いて再び立ち上がった。
「負けん……負けられんのだ!!」
桃太が姿勢を低くし、竹刀を短く握る。まっすぐに突進してくる浦島に備えて彼を正面から見据え、その半壊した竹刀を構えた。
(これで……終わりにする!!)
両者の竹刀が、空気を裂く。
刹那(セツナ)の後。桃太の竹刀は真っ二つに切られ、浦島の竹刀は矢によって貫かれて地面に固定されていた。
「!?」
「おとう……さん」
桃太の背後には海児、柵の外には弓を構える早乃の姿。
止められたのだと気がつくのに、桃太は少々時間がかかった。
「か……海児、貴様……」
「桃太、さがれ。後は俺に任せろ」
「あ……うん」
「早乃! かぐやと桃太連れて先に帰っててくれ!! 野次馬連中は邪魔だ、とっとと失せやがれ!!」
海児の声で、今日の戦いは終わった。
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