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「ねえ母さん。どうして浦島さんは七節を目の敵だー、みたいに言ってたの?」
「……あそこは村守の施設だろ。あんたが行っていいとこじゃァないんだ。もう二度と行くんじゃないよ」
早乃は、かぐやの問いには答えずにこう言い放った。一瞬目を大きく見開く彼女だったが、すぐに視線を落ち着ける。
「……ねえ、なんでかぐやは村守になっちゃいけないの?
桃太はかぐやの弟なのに村守だし、母さんも若い頃から村守なんでしょ?」
早乃は頭巾の後ろで束ねている髪にかんざしのようにさしていたキセルを取り、火を点けた。
「簡単なことさね。あんたなんかじゃ村守は務まらないよ」
かぐやの眉間にヒビが入る。桃太がそれに気付いた時には、既にかぐやは早乃の胸ぐらにつかみかかり、木へと押し付けていた。
「務まらないって……どういうことよ?」
激昂しているかぐやをよそに、早乃は無表情でキセルをふかしている。
「言葉通りだよ。あんたの力じゃ、みんなの足手まといになるだけだ」
「言うじゃない。じゃあ、今かぐやに押さえ込まれてるあんたに村守なんてつとまるわけ……ないっ……!?」
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