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同じ頃。
老いていてもスラリとした体格に、流れるようなキツネ目。
頭に頭巾をかぶり、マゲの部分だけ頭巾を破って外に出しているという奇抜な姿の女、七節早乃 (ナナフシハヤノ)は、河原につくなり『滅べジジイ』と言いながら洗濯物から海児のふんどしを取ると、それを叩きつけるように川へと投げ捨てた。
これでももう二十年を越える年月を共にしてきた二人である。
結納した当時はそれなりに幸せだったのだが、長年求めた子どもをなかなか授からず、それが原因でこうして今でもギクシャクした生活を送っている。
(こんなことになったのも、子どもを授からない私の責任かね)
薄汚れた洗濯物を洗いながら、早乃はそんなことを考えていた。
(子どもと、旦那と、私。それだけで、あたしゃ何にもいらないのにね……おや?)
目をあげる。川上から、何か大きなものが流れてきていた。
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