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流れてくるそれを見ると、なんと両手でも抱えきれそうにないほど大きな桃だった。
「……なんだいこれは」
あまりのことに早乃はしばらく呆然として立ち尽くしていたが、ようやく我を取り戻すと、洗濯板を使って桃をたぐりよせ目の前に置いた。
(桃……本当に桃かい?)
早乃はその妙な威圧感に圧倒されながら、目の前の桃を眺める。大きさ以上に重いようで、軽く叩くと中から鈍い音がした。
「……何が入ってるのかね」
そう思った早乃は、両手に桃と洗濯物を抱え、えっちらおっちらと家へと戻り始めた。
巨大な桃を軽々と担いでいる辺り、さすがは海児の妻である。
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