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僕は屋敷でいつも一人ぼっちだった。父さんや母さんや妹の三人が、一体どんな人なのかすら……僕は知らされてない。
「劉ぅ~~一緒に遊びましょ?」
「シルフィは……ミリアと遊べば良いだろ。僕なんかに構わないでくれ」
シルフィは獣人の、そしてミリアは死神の神子だから……僕とは違う世界の人だと思っている。
「アンタ、幸せそうに笑ったりとかしないの?いつも恐い顔してたら……いつか会う妹に嫌われるわよ?」
そんな事を言ってきたシルフィを、僕は鼻で笑ってやった。“幸せな笑顔”って、僕は必要無いと思ってる。だって……笑っても、妹には会えないから……。
「“幸せな笑顔”なんて……いらないさ。笑ったって父さんには会えないし、母さんにも会えない!!!!それに……僕が守る筈だった妹にだって、会えないのなら……笑っても意味が無い」
僕の心は“寂しさ”と“悲しさ”でいっぱいだけど、表情は相変わらず感情の色が出ていない無色の状態だ。
「ねぇ劉君……妹ちゃんに会いたいなら、笑ってた方が幸せになれると思うんだけ……ど?」
「ッ……!!知った風な口を聞くな!!お前らは……家族がいて、ちゃんと全員揃ってるじゃないか!!皆一緒にいる幸せなお前なんか、俺は……本当は顔すら見たくないんだ!!」
そう言って僕は、子供部屋から抜け出した。ずっと走り続けていたのに、心のイライラはまだ治まらなかったりする。気付いたら僕は、メイド達の部屋に来ていた。………中から声が聞こえるのが気になるので、耳をすまして聞いてみた。
『ちょっと!!その話って……本当なんですか?』
『本当らしいわよ。旦那様が近々、この屋敷に……いらっしゃるみたい』
僕は、自分の耳を疑った。今まで一度も会いに来なかった父さんが、何で今になって……?いや……今は考えるより、メイド達に聞くのが先だ。
ガラッ
「その話……本当なの?」
「ら……劉様!?!?」
「……聞かれてしまったのなら、全て教えて差し上げたいですが……私達からは伝えるのはできません。劉様、この紙に書いてある場所へ行ってください。そこで――妹君に会えますよ」
一番年寄りのメイド、李陳から貰った紙に書いてある場所へと……僕は急いで向かった。
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