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「――片桐!」
怒鳴られ、少年は苦い顔をした。片眉を吊り上げ、愛想笑いを試みるが引きつってしまう。
少年の年は16。学ランの第一ボタンと第二ボタンは外れていて、下に着ているオレンジ色のシャツが覗いている。人の良さそうな柔らかい笑みは、今は苦さを含んでいた。
「何だ、この赤点だらけの答案は!?」
「いやー、勉強しようとは思ってたんすけど……ちょっと息抜きにとギターを弾きだしたら止まらなくて……」
少年――片桐空はぼりぽりと頭をかいて答えた。それに対し、中年の担任教師は事務机をバンと叩いた。
「たるんどる!」
「いや、ちゃんと弦は張りましたけど」
「そっちじゃない!」
また怒鳴られて空は重いため息をついた。
「こんな点で卒業出来るとは思っていまいな!?」
「まさかぁ。次からは満点取りますから、大丈夫っすよ」
「そうやって1年間のテスト全て赤点を取って来ただろう」
あはははは、と乾いた笑いをして空は誤魔化す作戦に出た。
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