夢の在処は遠い日に

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「へらへらするんじゃない!」 「先生、そんなに怒ってちゃ体に悪いですよ?」 「誰のせいだと思ってる!?」 誰もいない夕方の教室に夕日が差し込んで茜色に染め上げていた。 「春休みになったら、補習授業だ」 「え、マジすか?勘弁して下さいよ!春休みはニューヨークで大切なライブあるんすから!」 だが、そんな理由が通るはずもない。 「ふざけるな!用事なんか知ったことでない!」 「ふざけてないっすよ!ボーダーレスのユウヤが引退するライブなんすよ!もはや伝説のバンド、ボーダーレスですよ!?分かってんすか!そのギタリストのユウヤが引退なんすよ!?世界中から何万っていう応募があって、その中から選ばれた百人限定のライブなんすよ!?これは、運命の導きっすよ!俺がギタリストになるように、なれるように、運命が味方して選ばれたんすから!」 空の熱弁に担任教師は思わず後ずさった。 「じゃあ、退学になってもいいのか!?」 「いい!」 即答して、空は鞄を掴んで教室を出て行った。
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