3人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
―――
「ねえ、今日も水泳部あんの?」
昼休み、私が教室でひとり黙々と弁当を食べていると、宣がそう訊いてきた。
「…あるよ」
いきなり話しかけられたことに驚きながらも、平淡に私は答えた。
「何時に終わる?」
「だいたい…5時半くらい」
「そのあとも倉持サンはいるよね?」
「そのつもり、だけど」
(どうしてそんなことなんか…)
「ふーん、そう。じゃあ、また放課後行くよ」
私の訝しげな声にも反応せず、満足したように彼はそう言って自分のカバンを持って教室を出ようとする。
「ちょっと…どこ行くの、まだ授業」
私が慌てて呼び止めると、
「ん?ああ、保健室って言っといて」
パチンと星が飛ぶような爽やかさでウインクをして、宣は去っていった。
「……」
私にどうしろと?
「……」
(放課後…水泳部に来るって言ってたよね)
私は、宣が去ったドアを見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!