キミの赴くまま

5/15
前へ
/43ページ
次へ
「キミも、水泳やってたの?」 私はじっと、宣を見る。 「ん?…いんや、べつに」 宣は笑っていたけれど。 「ならどうして?」 「へ?」 虚を突かれたような宣の声。 「どうして私が焦ってるってわかったの?」 真剣な瞳で相手を見上げる。 濡れた髪の水滴が、ポタッとプールに落ちた。 「…いや、フツーわかるでしょ?ずっと倉持サンを観察してたら」 すると、こちらが真剣に訊いているにも関わらず、宣はおどけた調子で言ってきた。 …て、ちょっと待って。 『ずっと倉持サンを観察してたら』…? それって。 宣はずっと泳いでる私を観察してたってこと――?
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加