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「キミも、水泳やってたの?」
私はじっと、宣を見る。
「ん?…いんや、べつに」
宣は笑っていたけれど。
「ならどうして?」
「へ?」
虚を突かれたような宣の声。
「どうして私が焦ってるってわかったの?」
真剣な瞳で相手を見上げる。
濡れた髪の水滴が、ポタッとプールに落ちた。
「…いや、フツーわかるでしょ?ずっと倉持サンを観察してたら」
すると、こちらが真剣に訊いているにも関わらず、宣はおどけた調子で言ってきた。
…て、ちょっと待って。
『ずっと倉持サンを観察してたら』…?
それって。
宣はずっと泳いでる私を観察してたってこと――?
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