水温の中で

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「ね、それってキモチイイ?」 突然、静寂が壊された。 「!」 私は驚いて、思わず足をついて立つ。 誰かがプールに侵入したことなど、全く気付かなかった。 「あ、驚かせてゴメン。浮かんでんのキモチ良さそうだったから、つい」 気まずそうな、微妙な顔で相手は笑った。 私は、そのまま相手を見上げる。 その声の主は、見たことのない顔だった。 だから。 「キミ誰?新入生?入部希望?」 そう、聞いた。 すると、相手はキョトンとした顔になって― 「俺、アナタと同級生なんだけど。倉持 蓮華サン」 苦笑した。 「なんで私の名前…」 私が酷く驚いた顔をしていると、 「三年間も同じクラスじゃ、自然に覚えるでしょ」 相手はさらっとそんなことを言う。 「…同じクラス?」 そういえば、私はクラスの誰も覚えてない気がする。
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