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ジェイコブは廃墟群を赤いボルボのセダンで駆け抜ける。
後ろでは血塗れの男が痛みで足掻いている。
「手前ぇシート汚すなよ。高い物だからな。金が入ったら病院でもなんでも連れてってやる。」
ゴォォォォッ
二台のボルボのエンジン音が廃墟に木霊する。
「ここだ!ここで襲撃された!止血ぐらいしてくれぇ!」
二台は廃墟と廃墟の間の道路で止まった。そこにはボロボロになったカローラが一台と死体が二つ。
「昼前だ。もう大分先に行ってるか、奴は死んでるなこりゃ」
トムはデジタルのミリタリーウォッチに目をやる。時刻は一時前を指していた。
「別に誰が死のうと構わない。重要なのは金だ。」
ジェイコブが金に執着するのは傭兵だからと言うものではない。
その理由は後に語られる。
ジェイコブとトムは黒のプレートキャリアーを装備し、拳銃を構えカローラに接近する。
車を調べようとしたその刹那、四方から銃撃を受ける。
ドガガガガガッ
AK独特の甲高い音が二人を襲う。
後続の四人は車からは降り、二人を援護する。
二人は咄嗟に車に飛び込みドアを閉める。
「ああっクソッ!」
ジェイコブは悪態をつきながら後部座席で仰向けになり銃をマズルフラッシュの方へ撃つ。
最早、二階建てとは言えなくなった廃墟からの銃撃。
府と見えた頭にキバヤシはM14 EBRで正確な狙撃をする。
それを突破口にヒューストン、ペリック、リッチモンド、キバヤシは散開する。
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