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空き地が屋敷になっていた。
これだけで、驚く人は多いかもしれないし、少ないかもしれないが、その空き地を15年と7ヶ月もの間、ずっと見てきた俺にとっては、とてつもなくデカイ衝撃だった。
小さいころから、俺にとっての絶好の遊び場であった空き地は、当然の如く、ここいらに住むガキ――当然俺も含む――の遊び場として、確固たる地位を築いていた。
どちらかと言うと田舎町に該当するこの桜咲町<オウザキチョウ>にも、これだけの広さを誇る空き地は存在しない。
少年たちは野球に興じ、小さな少女たちは友達と飯事に勤しみ、老人たちはどこからともなく持ち込まれたベンチに腰掛け、春には満開となる桜を満喫する。
そして俺は、子供たちが戯れるこの風景を眺めるのが好きだった。
別に俺はロリコンでもショタコンでもましてや熟女好きでもないので注意。
たまに野球に興じているガキどものボールが飛んでくるが、距離が距離だけに、子供の力では窓ガラスを割るほどのボールを飛んでくることもないから安心だ。
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